一般的に吹きガラスといっても大きく分けて「型吹き」と「宙吹き」に分かれます。
「型吹き」は文字どうり金型の中で息を吹き成形していき、成形する際の技術を伴わず、型にはめる分形も均一に仕上がります。
一方で「宙吹き」は型を用いずに僅かな道具を使い職人の技術のみで成形していく技法です。宙空で成形する為、その形一つ一つに違いが生まれますが、その形はどこか自然で優しい風合いをおび、表面は滑らかで艶のあるものとなります。
肥前びーどろではその殆ど全ての製品を宙吹き製法にてお作りしております。
同じ商品でも微妙に形に違いが出ますが、そこに味わいが生まれるのが宙吹きの最大の特長。
ガラスであるのにどこか柔らかな風合いが感じられます。
溶けた青色のガラスを巻きつけて作った波のようなこの模様も、全て手作業でつけていくため一つずつ違いが生まれます。
自然な形状と相まって手仕事でしか生まれない一品となります。
昭和中期頃までは日本国内でも数か所残っていたとされるジャッパン吹き。
現在では世界的に見ても肥前びーどろでしか見られなくなった稀有な技法となり、幻の技法とも呼ばれております。
通常は吹きガラスを製造する際に使用する吹き竿は、鉄製の吹き竿を使用します。
しかし「ジャッパン吹き」はガラス製の吹き竿を使用します。そのガラス製の吹き竿を使用すること自体を「ジャッパン吹き」と呼びます。
ジャッパン吹きをする際の一番の特徴としては、一人の職人がガラス製の竿を同時に2本扱うところです。これはジャッパン吹きで作る商品には注ぎ口がある為です。胴体を始めに作り、その後にもう一本のガラス竿にガラスを付けて胴体に接着し注ぎ口を作っていくためです。
肥前びーどろでしか継承されなかったジャッパン吹き。なぜ幻となったかと言えば、やはりその技術の習得の難しさが挙げられます。
通常ではありえないガラスの竿。まず細く長い竿を吹く事から始まります。それ自体でも技術がないとままなりません。
そしてそのガラス竿を使うだけでも問題点があります。通常吹きガラスは【焼き戻し】(製造中に温度が下がり固くなるため成形しにくくなるのを防ぐため、何度も温め直しガラスの温度を一定に保つ作業)を行いますが、ガラス竿ではそれができません。焼き戻しを行うと竿ごと溶けてしまうからです。
つまりはジャッパン吹きで製造する場合はすべて素早く行い一発勝負となります。
そして写真に見られるように、職人の手の感覚で2本目の吹き竿を使い、口元となる部分を絶妙な力加減で成形していきます。
このように全ての過程に高度な技術を要するため、継承が難しかったと考えられます。
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